TA(ティーエー)とは、「コミュニケーション技術」のことです。
すこし補足すると、「理屈がとおっていて、効果がきちんと見込める、上質なコミュニケーションをするための技術」といえます。
なお、TAは「Transactional Analysis」の略語で、日本語では「交流分析」と訳します。TAは臨床心理学の基本理論として精神分析理論をベースに、アメリカの精神科医エリック・バーン(Eric Berne、1910~1971)によって開発され、現在でも研究と応用が進んでいます。TAには「個人の性格を深く理解し、それに合わせた成長をうながす」という特性があり、指導・教育が重要なビジネスシーンで数多く活用され、十分な実績を持つ有効な理論です。
TAの目的は、対象者の「主体性と自律性をおのずから高める方向に持っていく」ことです。
付け加えるならば「成長につながる助言をする技術」です。
誰にでも「子ども時代」があります。晴れの日の熱気、川のせせらぎ、怒った大人の声、ざらめの付いたアメ玉、濡れたワックスのにおい。子どものころは、意識せずともいろんなことを感じ、記憶していったことでしょう。
しかし子どもというのは、入力されるもの全てを「いっしょくた」におぼえてしまう年代です。全てが未知なので、得た情報が「良い」とか「悪い」という判断ができません。
そして、その膨大な記憶の中でも、傷ついたり自信を失う様なネガティブな体験が大人になったあなたに影響して、「自己防衛」という反応になってあらわれます。自己防衛とは、「自分を守るために自動的に反応して無意識下に起こる行動・決定」のことです。
たとえば・・・、失敗して上司に怒られました。
怒鳴られたことで身がすくみ、頭の中が真っ白になって涙が出そうになる。または怒鳴られたことでカッとして、一発殴ってやりたくなる。理屈では「怒られたことよりもどうやって失敗を補うか」の方が重要だと分かっている。けれど抑えがたいもの。抑えがたい反応。それが「自己防衛」という反応です。この「自己防衛」を認識することで、役立つものは強化・発展させ、害になるものは手放すことが出来るのです。
そんな取捨選択ができたら――TAはそのプロセスを助けるための理論であり、道具となる優れた技術なのです。
パーソナリティ(personality)とは、心理学において「個人の人格」をさす言葉です。
TAの理論では、「ひとりのパーソナリティのなかには、6つに細分化された『さらに小さなパーソナリティ』がある」とされています。それぞれできた時期・できた理由のちがう6つのパーソナリティ。この6つのバランスを知ることで、現在の自我の状態を知ることで、自分の長所と短所、そしてそれらが「どうしてそうなったのか」を理解できます。状態と理由さえ分かれば、長所を意識的に伸ばしたり・短所を手放したりすることも可能になるのです。
要素 | 形成プロセス | ポジティブな面 | ネガティブな面 | |
成人の自我 6~9歳頃に思考、判断、対応を繰り返しながら形成される要素 |
CP (批判的なP) ![]() |
物事を判断する基礎となる価値観、理想、信念を身につけてできた部分 | 規律を守る 評価する 道徳的 |
頑固 偏見を持つ 圧迫する |
NP (保護的なP) ![]() |
人に対する愛情、思いやりを持ち、それを表す行動部を見習ってできた部分 | 思いやり 世話をする 気を配る |
甘やかす おせっかい 自立を妨げる |
|
親の自我 3~6歳頃に親の考え方や行動の影響を受けて形成される要素 |
A (成人のA) ![]() |
事実、客観的データに基づいて考え判断する力を基礎に発達する部分 | 冷静で客観的 計画性がある 意思決定できる |
打算的 クール 味気ない |
子どもの自我 0~3歳頃に親形成される感覚的、感情的な感じ方や反応の仕方の要素 |
FC (自然のP) ![]() |
人間が本来持っている欲求や感覚、感情を損なわずに強化して自分の一部とした部分 | 天真爛漫 好奇心が強い 創造性豊か |
自己中心的 持続力がない 単純 |
AC (順応のC) ![]() |
相手の期待や要求に添うために自分を抑え、相手に合わせる行動を繰り返しているうちにパターン化して身につけた部分 | 素直で従順 辛抱強い 協調性がある |
依頼心が強い 我慢しすぎる こびへつらう |
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RC (反抗のC) ![]() |
自分の思いや欲求を抑えられたことに反発する行動を繰り返してパターン化して身につけてできた部分 | 競争心旺盛 根気強い エネルギッシュ |
攻撃的 反抗的 不平不満 |
交流分析理論は、やりとりを類推することから始まります。
対象と他者とのやりとりを見て、「彼は他人とどんなかかわりかたをしているのか」をとらえることができる理論です。具体的には、対象が「6つのパーソナリティのうちのどの部分を出して交流しているのか」を分析します。そうすることで、「問題の起きやすいパターン」や「気持ちが食いちがっているパターン」が認識できます。認識できれば「無意識な反応」となっていた受け答えが意識にのぼり、修正の糸口を見つける手立てにつながります。
TAでは他人やできごとへの対応を「ストローク」と「ディスカウント」のどちらかに分類します。
ストロークとは「人間関係を作るやりとり」。ディスカウントは「人間関係を壊すやりとり」のことです。基本的にストロークは成長に結びつき、ディスカウントは停滞をまねきます。となればストロークの方が良いわけですが……人はみんな、育ってきた環境や経験によって、「他人とかかわる際のくせ」を持っています。そしてその「くせ」はほとんど無意識に外へ出てしまいます。当然、持っているくせの傾向がディスカウントである人も多く存在します。この「くせ」を認識し、「ストロークへと変化させる」――それがTAの目指す到達点です。
性格を6つの要素に分解し、それをグラフ化して「性格を分析する」手法のことです。それぞれの要素はアルファベットで示され、イメージとしては CP(頑固なお父さん)・NP(やさしいお母さん)・A(数字が得意な大人)・FC(自由奔放さ子供)・AC(まじめでおとなしい)・RC(反骨精神豊かな子供)の6つに分けられます。
『TA PACK SYSTEM (R)』は、エゴグラム理論を基礎とする「性格分析システム」の名称です。
㈱ヒューマンスキル開発センターで開発されました。(URL:https://www.human-skill.co.jp)
『TA PACK SYSTEM (R)』は、「60問の質問から非常に精度の高い検査結果を出すことができる」という特長があるため、官公庁・上場企業・医療機関・福祉施設などの重要施設にて特に多くの採用実績があります。
自分と他人に対する「肯定の姿勢(=OKか、OKでないか)」をグラフ化したものです。
対象の協調性・積極性・自信の量・安定性を定量化できるため、対人関係の傾向を読み取ることが可能になります。
TA PACK SYSTEM(R)は㈱ヒューマンスキル開発センターの登録商標です。
人事・経営まさき事務所(代表 牧 正樹)は、TAコンサルタント養成講座(㈱ヒューマンスキル開発センター)を
受講した認定TAインストラクターです。